一般社団法人 日本超音波医学会 第41回関西地方会学術集会 併催 第18回関西地方会講習会 | The 41st  JSUM Kansai Regional  Congress of the Japan Society of Ultrasonics in Medicine

会長挨拶

日本超音波医学会第41回関西地方会学術集会の開催にあたって 会長 椎名 毅(京都大学 大学院医学研究科 医用画像情報システム学)

この度、日本超音波医学会 第41回関西地方会学術集会および第18回関西地方会講習会を、ホテルグランヴィア京都において開催させていただくにあたり、ご挨拶申し上げます。

超音波の臨床応用の歴史は50年余りであり、その点では、私が歩んできた年数とほぼ等しく同期生ですが、その間に超音波技術は絶え間ない進歩を続けて参りました。すなわち、1970年代には電子リニア走査装置で診断がリアルタイム化して超音波検査が急速に広まり、1980年代にはカラードプラ法の発明で血流分布の可視化、さらに2003年のエラストグラフィの出現で、組織の硬さの定量化による組織性状診断が可能になりました。CTなど欧米で開発された医療技術が多い中で、医用超音波では、カラードプラやエラストグラフィなど、世界に先駆けて実用化した実績があります。一方で、医用超音波技術の真の進歩のためには、新たな医療技術の開発だけにとどまらず、それを幅広く普及させて臨床において標準的な手法として定着させることが重要と言えます。そのような観点から、第41回関西地方会学術集会のテーマとしては、「超音波診断技術の進歩とデファクトスタンダード」を掲げました。

エラストグラフィについては、実用化から10年が過ぎ有用性が認められると同時に、手法や装置も様々なものが用いられているため、適切な利用法のためのガイドラインの制定が国内外で進められています。そこで、特別企画「Elastography診断のデファクトスタンダードに向けて」では、来春に出版されるWFUMBのelastography guidelineの概要を、実際に執筆された演者に紹介をしていただきます。また、シンポジウム「血管エコーのガイドライン」では、日本超音波医学会で、頸動脈、下肢動・静脈等の血管エコーガイドラインが公示されたことを踏まえ、その概要と実際の臨床現場で活用状況、今後の課題について概説していただきます。

教育講演では、強力超音波の生体作用と治療応用研究の第一任者である梅村晋一郎先生をお招きし、最先端の超音波治療技術とイメージングとの融合について、ご講演をお願いいたしました。また、パネルディスカッションでは、まず「光と超音波の融合が拓く次世代イメージング技術」において、新生血管や酸素飽和度などの機能情報を可視化する技術として実用化が進められている光超音波イメージングの最先端の研究紹介と展望について、また「Comprehensive ultrasoundの検討」では、カラードプラ法、造影超音波やエラストグラフィ等、様々な超音波新技術を総合的に駆使する超音波診断の優位性や意義と問題点について議論していただきます。さらに、ワークショップ「確実な病理診断のための超音波ガイド下インターベンションの工夫」では、日常臨床で遭遇する腫瘤、非腫瘤性病変などの診断におけるインターベンション手技の工夫の具体例を供覧し議論していただきます。また、今年も、一般演題、新人賞へ多くの演題をご応募いただきました。

併催の関西地方会講習会においては、「超音波の基礎から応用までを見直す」をテーマに、各領域の超音波検査の第一人者を講師に迎え、基礎知識と先端技術について、学べるように企画いたしました。

本学術集会の京都での開催は、第31回の開催以来の8年ぶりとなります。会場は、京都駅構内に位置する点で交通の便が良く、また、秋も深まる11月末は、古都の風情あふれる京都が最も美しい時期です。ぜひ多数の皆様にご参加いただき、実り多い学術集会となることを期待しております。